旧友美月と再会した哲郎は、彼女が性同一障害で現在は男として暮らしていると告白される。美月は他にも大きな秘密を抱えていた。

大学時代のアメフト部のメンバーとの定例の飲み会の後、哲郎は10年ぶりに会った元マネージャーの美月にある秘密を告白される。そして、その秘密は思いもかけない形でメンバーに影響を与えていく…。導入部分から読み手をぐいぐい引っ張り込み、途中で急に視点が変わるストーリー展開は、日常的な場面から少し現実離れした設定へと読者を取り込んでいく東野圭吾の得意技。そして、なにげない描写に隠された伏線が予期せぬエンディングへと結びついていく。アメリカンフットボールのポジションの役割を簡単にでも把握しておくとさらに楽しめるに違いない。(つちだみき)

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